302話 (1月6日配信分) までのネタバレを含みます。
5月2日追記:最終話までのネタバレを含みます。
無料公開を機にハマった『ゴールデンカムイ』。
物語は佳境を迎え、権利書と金塊の行末、主要登場人物の生死、アシリパさんの歩む未来が気になるところである。
一方でずっと引っかかっていたのが、杉元が金塊を狙うきっかけとなった、梅子のことだ。
梅子についていろいろ考えてみる。
梅子は治療を望んでいるのか
そもそも梅子の意向がわからない。
寅次が「梅子を頼む」と言いはしたが、梅子自身が目の治療を希望しているのかが不明だ。
目が見える人 (目が見えるの定義は置いといて) をマジョリティとして現代社会が成立しているのは明らかである。
それは『ゴールデンカムイ』の世界でもおそらく同じだ。
だからといって、当事者でない人が何の疑いもなく目の治療を是とするのは違う気がする。
梅子の視力に関して杉元は何の苦労も共有していないのに、金だけほいと渡されても、梅子は納得するだろうか。
要するに、梅子本人が治療したいならそれで良いし、治療にこだわっていないなら杉元の行動は押し付けがましくないか、と思った。
梅子再婚説
もし梅子がとっくに再婚していたなら、杉元の関与できる余地はますます無い。
再婚相手からしたら杉元なんて誰?誰なの?状態な可能性がある。
仮に再婚相手がめっちゃ金持ちで使用人もたくさん雇えて低い視力から生じる諸々の不便を解消できるなら、わざわざ未知の国に渡航するの、面倒くさくないか。
梅子にとって、杉元はすでに過去の人ではないだろうか。
連れてって、と頼んだのに杉元がひとりで去ったとき、梅子と杉元の関係は終わってしまったような。
杉元も杉元で、あなた…どなた?と問いかけられたのに答えなかった。
親しかったはずの人に認識されなくて動揺するのは当たり前だとは思うが、黙っていなくなるのは……杉元らしいというかなんというか。
だがその辺りも、アシリパさんと一緒に過ごすうちに、少しづつ変わっていったような印象を受ける。
果たして今の杉元が、北海道に来た本来の目的をどのくらい意識しているのだろうか。
第302話
記事をなかなかアップしないうちに、この話が配信された。
「金塊の分け前なんて忘れてそうだな?」
驚いた。土方が触れた。杉元の目的に。
「自分のためだけならとっくに諦めてる」
つまり他人のために諦めてないわけで。
梅子もアシリパさんも他人に相当するけど、
土方「列車降りて逃げろ」
杉元「残って追っ手を減らす アシリパさんの権利書を守るにはそれしか無い」
土方「金塊の分け前 (略)」
杉元「自分の (略)」
の流れ的に権利書とアシリパさんのために戦っている自覚があるのは確実。
梅子についてはどうなんだろう。
ある事実に対する言及がないことは、その事実が存在しないことと同等ではないので……
しばらく梅子の話が出てきてないからといって杉元が梅子の目をどうにかしようという気が無くなった、とは言い切れない。
そもそもの話
ここまで書いといて今更だけど、杉元が北海道に来た動機の大半は戦争から帰ってこられない心を持て余していることであって、親友の妻の目病を治したい気持ちがまったく無いわけではないけれど、それを体の良い理由として使っていた側面もある、という可能性はないだろうか。
ただ、アシリパさんと出会って以降は、自らの意志でアシリパさんのために行動しているように見受けられる。
今は列車内で大変なことになっているけど、過去のあれこれと折り合いをつけたことがわかるような描写がいずれあると良いな。
最後に
なんにせよ今後の話が気になって仕方がない。
どう着地するのかぜんぜん予想できないし、他にも疑問に感じていることは多々ある。
毎週木曜日の生きる糧、もうしばらく大切に楽しんでいきたい。
追記:
どの程度かは分からないものの、梅子が視力を取り戻した描写があった。
また、再婚もしていたことも判明。
杉元は砂金を渡したけど、寅次との約束について梅子が把握しているようには見えなかった。
でもまあ杉元は自分の過去にけりをつけられたようでよかった。
梅子にお金を渡すという本来の目的を達成した上で、アシリパさんと共に生きる選択をしたのは綺麗な終わり方だった。
杉元が現在の自分を肯定したシーンには感動した。